アスランは暫く考えてから口を開いた。

「そんなことないよ」
「でも……僕……ちっちゃいから」
「可愛いよ」
「役にたつ?」

キラはアスランが「知りたい」と言ったことを気にしているようだ。
「たつよ」 というか、キラだったら何でもいい。
キラに尋ねられたとき、勘の鋭いアスランは何となくキラの意識の内を悟った。
もうすぐ自分の誕生日で、キラの質問は、キラの考えていることをそのまま表していた。
だから、駄目元でほしいものを告げてみたら、自分でも驚くほどによい方向へと転んだ。
まだキラもアスランも幼いし、キラが泣き出したらやめようと思っていた。

けれど。

可愛い可愛いアスランの大好きな幼なじみは、本当に無垢で素直で。
アスランが今していることの意味も、きっとわからずにアスランのために身体を はってくれているのだろう。
それがたまらなく愛おしい。

「あす……らんっ」

胸に触れる箇所に力を込めればキラは泣き出しそうな声をだした。
今日はここまでにしておいたほうがいいかもしれない。
この先は、もっと大きくなってから。
のそりとキラの上からどくと、キラは不思議そうにアスランを仰ぐ。

「もう……いいの?」
「うん、ありがとう。いろいろ参考になったよ」

今後の、とは口に出さずに飲み込んでおく。

キラはキャミソールをおろしながら、のろのろと起き上がった。

「これがアスランの知りたいことなの?」

頬はまだ朱色だった。

「うん」
「あの……僕、よくわからないんだけど……」
「わからなくていいよ」

そのうちわかるから、とアスランが内心思っていたら、キラは急に瞳を潤ませた 。

「え……キラ?」
「アスラン……女の子の身体に興味があるってこと……?」
「は……?」

どうしてそんなことになるんだと身を乗り出せば、キラはぐしゃと目元をぬぐった。

「だって知りたいことあるって……僕の……胸……触ったり……好きな女の子の……代わりとか」

やはりキラもおかしいとは思っていたらしい。
確かにやったことは極めておかしいことだが、ほかの女の子も含められて考えられるのはごめんだとアスランは首を横にふった。

「ちがうよ、キラ!」
「だって……」
「キラのがいいの」

つい大きい声をだしてしまい、アスランはふいとそっぽを向いた。
もしかしてヤキモチを妬いてくれたのかもしれないという嬉しさと、女好きだと思われてしまうせつなさで複雑な気持ちだ。

「僕……?どうして?」

キラは鈍過ぎるから、最後までいわなければわからないだろう。
でも、あえて言わないでおく。
こういうのは自分で気がつかなければ意味がない。

「キラ、今のって俺の誕生日のお祝い?」
「え……あ……そう……なるのかな?ってアスラン、気付いてたの!」

あたふたとし始めたキラについ笑みが零れる。

「これで本当にいいの?」
「うん。あ、でも」
「え…」

キラの顔にあからさまに不安の色が浮かんだ。
また恥ずかしいことをするのがためらわれるのだろう。

「ほしいもの、ほかにもあった」

するとキラからはみるみる血の気が失せていった。

「あ、アスラン!あの……」
「なに?」
「あんまり……高いものは……買えないんだけど」

申し訳なさそうに俯くキラは抜群に愛らしい。

「キラにキスしてほしいんだけど」

アスランの言葉にキラは暫く悩んだあと、眉根を寄せた。

「さっきしたのは……違うの?」

アスランは大きく頷く。

「キラからしてほしいんだけど」









それから数日。 アスランは大好きな幼なじみから、小さなキスを贈られるのだけれど。

キラがあの日の出来事の意味を知るのに、時間はかかりそうだった。







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最後だけアスラン視点(滝汗)